凍結防止剤による劣化からケーブルを保護する

日本では凍結防止剤として塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどが広く使用されています。

これは、塩化カルシウムや塩化ナトリウムの持つ凝固点降下(水溶液の凍る温度が低下し凍りにくくなる)という性質を利用したものです。冬が近くなると、坂道や橋などの道路脇に凍結防止剤を入れた容器が置かれて、運転する人たちが自主的に散布できるようになっているのはよく見る光景です。

その他にも、塩化カルシウムは他にも豆腐の凝固剤、除湿剤、食品添加物などに広く使われていますし、また塩化ナトリウムは料理に欠かすことのできない調味料の食塩です。このように両物質とも海水など自然界に広く存在し、毒性の少ない物質であることから様々な分野で広範囲に利用されています。しかし、これらの物質を凍結防止剤として利用する時、注意しなければならない点があります。それはどちらも他の物質を浸食しやすいという性質があることです。潮風を受ける機会の多い沿岸地方では自動車の劣化が著しいなど、金属を浸食しやすい性質はよく知られていますが、ケーブルに対する影響にも無視できないものがあります。

ケーブルの被膜として主に使われている塩化ビニールは、元々耐久性が高いのですが、長期間付着したり、過酷な環境下におかれると徐々に劣化が進んでいきます。特に凍結防止剤を使用する機会の多い寒冷地域では注意が必要です。凍結防止剤の成分を変えることはコスト的にできにくいので、ケーブルの被膜を塩害対策の製品に変えたり、カバーや塗料などで表面を覆ってこれらの成分からケーブルを保護する必要があります。

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